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2023年11月12日日曜日

シベリウス/交響曲第4番〜第7番 ヴァンスカ&ラハティ交響楽団

 シベリウス/交響曲全集からクレルヴォ交響曲、交響曲第1番〜第3番

指揮:オスモ・ ヴァンスカ
ラハティ交響楽団

※Spotify
第4番

第5番

第6番

第7番

 シベリウスのシンフォニーは4番で全く作風が変わる。ヴァンスカは英雄大河的な壮大な表現から、この4番〜7番の内省的・自然受容的な世界を見事に描き出す。聴く者をマインドフルネスの世界に引き込んでくる。心の琴線に触れるシベリウスの旋律の数々を、変幻自在に楽想を展開していく。5番、6番が特に素晴らしい。

2023年11月4日土曜日

シベリウス/クレルヴォ交響曲、交響曲第1番〜第3番 ヴァンスカ&ラハティ交響楽団

シベリウス/交響曲全集からクレルヴォ交響曲、交響曲第1番〜第3番
指揮:オスモ・ ヴァンスカ
ラハティ交響楽団

※Spotify
クレルヴォ交響曲
https://open.spotify.com/track/6tfkJUJxfCVgISbO5fG07P?si=cXgsVydITH-Y4r154G8IGA

第1番

第2番

第3番

 非常に引き締まった明晰さサウンドで一世を風靡したヴァンスカ&ラハティ響のシベリウス全集。クレルヴォ交響曲も収録されている完全な全集になっているが、このクレルヴォがとりわけ凄くいい。この曲の傑作性を教えてくれた名盤。
 特に第3楽章以降の声楽と合唱を盛り込んだ演奏に心が打ち震えるような感動を覚えた。
 いいシベリウス指揮者かどうかは3番の演奏を聞けばわかる、と思っている私にとっても素晴らしい演奏。

2023年10月28日土曜日

シベリウス/交響曲第6・7番 ベルグルンド&ヨーロッパ室内管

シベリウス/交響曲第7番
指揮:パーヴォ・ベルグルンド
ヨーロッパ室内管弦楽団

第6番

第7番
※Spotify
カタログ番号:825646619429
1997年10月、オランダ ヒルフェスム RFOホールでの録音

 ヘルシンキ・フィルとのコンビもお国モノの強みで味わい深いが、名人集団のヨーロッパ室内管の演奏は、濁りや淀みのないアンサンブルによって、この6番・7番の持つ美しさが一層際立つものになっている。
 7番については正直、このコンビの演奏を聴くまでこの曲の良さを深いところまで理解できていなかった。私にとっては大事な一枚。

2023年10月21日土曜日

シベリウス/交響曲第3・4・5番 ベルグルンド&ヨーロッパ室内管

 シベリウス/交響曲第3・4・5番

指揮:パーヴォ・ベルグルンド
ヨーロッパ室内管弦楽団
第3番

第4番

第5番

※Spotify
カタログ番号:825646619429
1997年、オランダ ヒルフェスム RFOホールでの録音

 このCOEの手にかかれば、陳腐な曲想になりかねない第3番が管楽器・弦楽器の名人芸を堪能する曲になる。シベリウスの作風転換の分岐点となる4番は明晰な解釈でありつつも、シベリウス独特の雰囲気を湛えている。5番も「上手いな〜」と感嘆する。

2023年10月7日土曜日

シベリウス/交響曲第1・2番 ベルグルンド&ヨーロッパ室内管

 シベリウス/交響曲第1・2番

指揮:パーヴォ・ベルグルンド
ヨーロッパ室内管弦楽団

第1番
第2番
※Spotify
カタログ番号:825646619429
1997年10月、オランダ ヒルフェスム RFOホールでの録音

 過去にこのプレイリストに7番のみ収録していたが、これは全曲収録すべきだろうということで、まずは1・2番から。
 このコンビの2番を初めて聴いた時は、名人集団のヨーロッパ室内管をスーパーカーを乗りこなすが如くスピード感と切れ味鋭く切り込む演奏に度肝を抜かれたが、今聴いてみると、現在では主流の演奏。逆に言えば、ロウヴァリやマケラといった現在の気鋭の指揮者たちの解釈の源流は、このベルグルンド&ヨーロッパ室内管にあるのかも知れない。

2023年8月26日土曜日

ベルリオーズ/幻想交響曲 大植&神奈川フィル

ベルリオーズ/幻想交響曲
指揮:大植英次
神奈川フィルハーモニー交響楽団

※YOUTUBE
https://youtu.be/z0-RnW3CJVI


 大植英次、この人の作る音楽は本当に濃密。まるで神奈川フィルに薬物中毒患者(この交響曲の主人公)の亡霊が取り憑いたかのようだ。大阪フィル以外に大植さんの世界をこれほど現出できるオーケストラがついに現れた、という感じ。
 それを可能にしているのが、コンマスの大江馨さんの存在だろう。初めて拝見したのだが、指揮者の示す世界に共感し、全身で統率していく様子は、まるでヨーロッパの一流オケのコンマス像に重なる。

2023年8月19日土曜日

ショスタコーヴィチ/交響曲第11番〜第15番 ハイティンク&RCO or ロンドン・フィル

  ショスタコーヴィチ/交響曲全集から交響曲第11番〜第15番

指揮:ベルナルド・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

※Spotify

第11番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/6iQlrjC4QaLvOovN8X6xPL?si=nTa93Z7NQL2wGXpFtzZrzg

第12番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/1XIQGDzCyyKt21xTwBBO14?si=cgj2mTYxQLCARLZ1uURg8g

第13番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/3ihQEuFNYcyBsgiXnLDQnt?si=KkeEol_HSkGidZR8e61RnA

第14番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/7KHmxcirSyeZhoioPCPKcE?si=AcF6H3_kTMmWJD0GzNM66Q

第15番(ロンドン・フィル)
https://open.spotify.com/track/5qwh3fF6XmDFnYqKXjSp94?si=ccpdJDHsRLudLkeB0LDF0w

DECCA原盤 1980年代の録音

 この後期・晩期の5曲目も、社会主義という特殊な体制や社会情勢などの要素を排し、純音楽的に捉えるハイティンクの解釈は健在。それゆえに第11番や12番は、こういう曲を生み出した当時のソ連の異常性を逆説的に感じてしまう。まともな音楽じゃないですよ、これは。
 第11番から14番がロイヤル・コンセルトヘボウ管で、決してロンドン・フィルが良くないわけではないけれど、やはりRCO 表現の方が限界点が高い。オケの技倆の高さにひれ伏す。第15番もRCOで聴きたかったというのが正直な感想。

2023年8月12日土曜日

ショスタコーヴィチ/交響曲第6番〜第10番 ハイティンク&RCO or ロンドン・フィル

 ショスタコーヴィチ/交響曲全集から交響曲第6番〜第10番

指揮:ベルナルド・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

※Spotify

カタログ番号:425067
1980年代の録音 DECCA原盤


 これでもか!という傑作揃い、ハイティンクはショスタコーヴィチの情念や、当時のソ連の社会情勢を踏まえた解釈はとっていないのでは?見事なオーケストレーションと、その結果の他の作曲家の追随を許さない美しくもモダンな世界を現出している。第9番の良さを知ったのはこの録音。

2023年8月5日土曜日

ショスタコーヴィチ/交響曲第1番〜第5番 ハイティンク&RCO or ロンドン・フィル

ショスタコーヴィチ/交響曲全集から 第1番〜第5番
指揮:ベルナルド・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

※Spotify
第1番(ロンドン・フィル) https://open.spotify.com/track/12asAy7MlrpdteAp7A1eYi?si=Hbi6x8ILR22ebFy0JsEOCw
第2番(ロンドン・フィル)
https://open.spotify.com/track/7zys3HEbk0vlJXHwaA9jlZ?si=gbWr-YttRnKbNeGz2M84hA
第3番(ロンドン・フィル
https://open.spotify.com/track/44BQ8CWSFmk9fWqCzRGbxu?si=wKykD-uLSKyAAJwwsLmaHQ
第4番(ロンドン・フィル) https://open.spotify.com/track/2Pw7RghgalBWv5IlYMAR88?si=RMYRljwtR6ebMDLzgZ_zeg
第5番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/0TPrBEcQgnTCERq6GzByeZ?si=6KbpwOe4Rxq6Icso1mX5nw

DECCA原盤 1980年代の録音


 録音の音質がまずもって素晴らしい!!ハイティンクの明晰なアプローチが冴えわたり、それに応えるオーケストラの巧さが光る。特に5番のロイヤル・コンセルトヘボウの音は、まさに「ビロードの弦・黄金の管」を堪能させてくれる。Spotifyには全集として収録されているが、まずは1番から5番を。第1番〜第3番の良さを始めて教えてくれたのもこの録音。ショスタコーヴィチのポストモダンな1面を

2023年7月15日土曜日

ドヴォルザーク 交響曲第5,7,8,9番 ヤンソンス&オ スロ・フィル

ドヴォルザーク 交響曲第5,7,8,9番マリス・ヤンソンス指揮
オスロ・フィルハーモニー管弦楽団

https://open.spotify.com/album/64fct3PJhtZ8PdfPGXfsv6?si=ICkevnQTSfm7f5FsKfSRJA&context=spotify%3Aalbum%3A64fct3PJhtZ8PdfPGXfsv6
Spotify

1988年〜1989年録音

 EMI原盤。ヤンソンス流の弦の鳴らせ方が全開に炸裂する。クレッシェンドとデクレッシェンドのメリハリが強烈なのもやはりヤンソンス流。それでいてピアニッシモの処理は繊細。相当の音量で吠える金管の音も全くの 濁りがない。統制と秩序の中にもエネルギーの解放がある。
惜しむらくはこのコンビで、私の大好きな6番の録音も残して欲しかった。

2022年9月3日土曜日

チャイコフスキー/マンフレッド交響曲 V.ペトレンコ&hr交響楽団

チャイコフスキー/マンフレッド交響曲
指揮:ヴァシリー・ペトレンコ
hr交響楽団
 


 「ベルリン・フィルの首席指揮者にペトレンコが就任」のニュースが流れたとき、オペラ指揮者には疎い私はこのヴァシリー・ペトレンコが就任したのだと思ってしまい、なるほど宜なるかなと納得してしまっていた。

 それぐらい、このヴァシリー・ペトレンコの実力も素晴らしいものがある。このマンフレッド交響曲はロイヤル・リヴァプール・フィルとの録音もあるのだが、hr響に比べると弦がやや非力なのと、金管の柔らかさが足りない。
 こういう演奏をされれば、この曲の魅力の虜になる人も、いっそう増えていくだろう。

2022年8月6日土曜日

ショスタコーヴィチ/交響曲第7番 マケラ&hr交響楽団

ショスタコーヴィチ/交響曲第7番ハ長調
指揮:クラウス・マケラ
hr交響楽団
2019年11月 ライブ配信

 先々月(2022年6月)、都響&マケラのショスタコ7番が、大変な評判になっていた。hr交響楽団との共演のyoutube動画がある事を知り、早速拝見した次第。

 動画を見始めて80分の曲をスマホの画面で見続けたのは初めての経験。特にこの曲の第2〜3楽章をこんなに夢中になって聴いたのは初めてかも。
 『これは、ヤバいやつが出てきた!』というのが第一印象。クラシックの配信で230万回再生ってありえへん。それだけ自分と同じように衝撃を受けた人が多い証左。
 マケラが振ると、桶奏者は余程ミュージシャンシップが刺激されるのだろう。奏者たちも没入して=いわゆるゾーンに入って演奏しているように見える。言葉で表現することがとても難しいが、強く思うのが、曲そのものが持つエネルギーをこれほど引き出している演奏は聴いたことがなかったという感覚。これに心動かされている自分は何者なのか?自分の何が動いているのか解らなくなるような揺さぶられ方をする。

2022年7月29日金曜日

ベートーヴェン /交響曲第6番ヘ長調『田園』 スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリン

ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調『田園』
指揮:オトマール・スウィトナー
シュターツカペレ・ベルリン




1980年7月 東ベルリン イエス・キリスト教会での録音
※spotiy

 クラシック音楽の世界に興味を持って、初めて全曲聴いたのがこの演奏。小学校5年制の頃。家族がいないときにこのCDをトレイに載せて再生ボタンを押す。ディスクが回るキュンーという高い音が鳴る(当時はCDの回る音が未来的な音に感じました)、心臓の鼓動がドキドキと
鳴った自分を抱擁するかのような優しいメロディー、「これがかっこうの声やあ」「小川のせせらぎの音かあ」。聴きながら行ったことのない(今でも行った事はないが・・・)、遠いヨーロッパの田舎の風景が目の前に展開し、50分弱の時間が一瞬に感じた。思春期に差し掛かった自分の心をグッとつかむには、充分に魅力的な演奏。
 最初にこの演奏と出会ったことで、クラシックへの扉が開かれてしまった・・・。今でもその魅力は変わらない。もしクラシックを聴いたことがない人に勧めるとしたら、この演奏が最右翼になるだろうな。
  Spotifyだからかも知れないが、6番と8番のカップリングなのね。出た当時は収録曲は6番と序曲だけだった。

2022年7月22日金曜日

ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」 ミュンヒンガー&シュトゥットガルト放送響

ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調「英雄」
指揮:カール・ミュンヒンガー
 シュトゥットガルト放送交響楽団

※Spotify

 私が最初にエロイカを聴いた盤が、このミュンヒンガーの演奏。一時期はこのミュンヒンガーの「なんの変哲も刺激も無い演奏」から遠ざかっていた。
 しかし、今聴くと何とも味わい深く、心に染みる音楽であることか。昨今の様々な録音のような鋭利な切れ味は皆無だが、低音のしっかりとした土台の上に中高音楽器の音が実に艷やかで朗々と歌う。白眉は第2楽章「葬送行進曲」。フレーズが変わるたびに置かれる『間』の中に深い慟哭がある、だからこそハ長調の中間部分が燦然と輝く。
 元々はデッカの録音だけあって、音もいい。至高の一枚。

2022年6月11日土曜日

マーラー/交響曲第1番「巨人」 ルイージ&シュターツカペレ・ドレスデン(動画)

 マーラー/交響曲第1番「巨人」

指揮:ファビオ・ルイージ

シュターツカペレ・ドレスデン


 無料動画の世界はまさに玉石混交だが、たまに玉石を見つけるのが楽しい。この動画は極めつけの名演。「ここでカルロス火を吹いた!」ならぬ、『ここでルイージ火を吹いた』と呼びたくなる怒涛の演奏である。それでいて柔らかい部分は徹底的に柔らかく、繊細な部分もまた然り。このルイージはオーケストラを操り音楽を操る能力は現役指揮者の中でもトップだろうと思う。

 このオーケストラのサウンドは従来『いぶし銀』と呼ばれてきたが、今は「レッド・ゴールド」という明るいサウンドに進化している。このサウンドはシノーポリやチョン・ミュンフンの薫陶を経て、このルイージが進化を決定づけたと思っている。

 ルイージとシュターツカペレ・ドレスデンとは喧嘩別れしてしまったので、恐らくこのコンビの実演を聴く機会(ましてや日本において)は、もうないのが寂しいところ。

2022年5月14日土曜日

シベリウス/交響曲第1番 マケラ&オスロ・フィル

 シベリウス/交響曲第1番ホ短調

指揮:クラウス・マケラ

オスロ・フィルハーモニー管弦楽団

https://open.spotify.com/track/7sIrjaydybaI2yODylGeeU?si=QeFGzuqAQ668IlGi7NvyaQ&utm_source=copy-link

※Spotify



カタログ番号:4852256
2021年5月録音

 2020年に24歳でオスロ・フィルの首席指揮者に就任したかと思うと、2022年には名門パリ管弦楽団の音楽監督に26歳で就任したクラウス・マケラ。そうなると「一体何がすごいのか?」が知りたくなるのが音楽ファンというもの。

 新世代の指揮者らしく、従来の低音の土台の上にピラミッド型のサウンドを作り上げる(僕の中でのその代表格:クルト・ザンデルリンクのような)のではなく。各パートを自在に操り、前に出したり後ろに引っ込めたり、VR型の立体的なサウンドに仕上げている。

 一回り上で同郷のロウヴァリのような明確な特徴のある解釈は無いが、とにかくオーケストラをドライブする力量がすごい。盛り上がっていく場面では、気の長〜いフレージングでギュンギュンと音が凝縮されていくのが圧巻。ただ、こういうサウンドは生演奏で体験していっそうその凄さが解るのだろう。

 この曲、やっぱりええ曲やなあ。。。最終的にはそう感じさせてくれる。

2022年4月9日土曜日

サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」 P.ヤルヴィ&パリ管(動画) 

 サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

パリ管弦楽団 

プロムス2013 ライヴ録画(youtube)

 パリ管がもともと持っている豊かな響き、そして聴き手を陶酔させる音のボリューム感の劇的な変化を活かしつつ、パーヴォの手腕によって極めて精緻なアンサンブルを聴かせる。

 機動力を最大限に活かし、フレキシブルに強弱のメリハリを大きくつけ表情を豊かにするものの、メロディーはあくまで自然な運びの中で歌わせるといった感じで、やりすぎて野暮ったくなることがない。
 このコンビで実演が聴けたことに、いまだに感謝(くらしきコンサートよ、永遠に)。

2022年4月2日土曜日

ブラームス/交響曲第1番 ハイティンク&RCO

ブラームス/交響曲第1番 ハイティンク&RCO


https://open.spotify.com/album/5BlDbFeQppfg4pgMXIEYEw?si=XXouDWDfThaRJ6Wld7nRIg&utm_source=copy-link&dl_branch=1
※Spotify

カタログ番号:4808286(ハイティンク・コレクターズBOXの番号)
1972年12月 アムステルダム・コンセルトヘボウでの録音

 まずもって、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の音が美しい。まさに『ビロードの弦・黄金の管』。この音を聴くだけでも幸せになれる。
 ハイティンクのタクトは、(心から尊崇の念を込めて)『中庸の王道』を行く演奏だ。第2楽章〜第3楽章にかけての美しさはもちろんのこと、肩を怒らせるかのような演奏が多いこの曲を、第1楽章や第4楽章をこれほどまで細部まで丁寧に、そして溜めやじらしを使わず、端正なフォルムにまとめ上げた演奏は比類がない。
 やれ、書き上げるまでに20年を要した、はたまた、この曲は第九に続く、第10番の交響曲だ、などという鼻息荒いエピソードや、それにまとわりつく先入観はすべて削ぎ落として、ブラームスの音楽の美しさ・本質を描いているのではないか?それゆえに、この曲のオーケストレーションの見事さを、克明に、時にはグロテスクなまでに描き出している。だからこそ王道と思う。
 
 録音も言うことなし。

2022年3月26日土曜日

メンデルスゾーン/交響曲第3番「イタリア」第4番「スコットランド」 沼尻&日本センチュリー響

メンデルスゾーン/交響曲第3番「イタリア」、第4番「スコットランド」
沼尻竜典指揮
日本センチュリー交響楽団



https://open.spotify.com/track/1viBW1K3nUJKG312T1Z2rU?si=QNGFK80ZS4exTTQRrtYklg&utm_source=copy-link
※Spotify

e-onkyo music からダウンロード。DSF(2.8Mhz/1bit) 音源

 僕がこれまで聴いて来た「スコッチ」と「イタリア」の中で、一番の録音かも知れない。それほど賛辞を尽くしたい素晴らしさ。
 スコットランドについては、まず木管陣が良い!特に第2楽章の弦の刻みと木管のハーモニーの中から、クラリネットの持丸さんの霧が晴れる様なさわやかな演奏に惚れ惚れ。


 第1楽章ではヴァイオリンとチェロの掛け合いがあり、チェロ・セクションの心の琴線に響く歌も聴きどころ。コントラバスも重厚かつよく歌う(コントラバスがこれほど歌うのはこのオーケストラの特徴)。沼尻さんのタクトは、ダイナミクスやテンポに心地よい「揺れ」「揺らぎ」があり、全体では流れにまったくよどみがなく、音楽が滔々と流れていく。第1楽章の前奏はオペラのアリアのように歌わせせ、センチュリーも切ないほどに情感豊かに歌う。
 「イタリア」の方は、冒頭の弦のピチカートの芳醇な音と、木管のタンギングに導かれて有名な旋律が流れた瞬間、『もう完璧!』と思った。テンポよく流れていくが、マイナーに変わったあたりから熱を帯びていき、聴き手の集中力は自然と引き出され、あっという間に楽章の最後まで行ってしまう。
 この2曲に共通するのが、センチュリーのバランス感覚。もちろん沼尻さんの手腕によるところ大なのだけれど、その沼尻さんのタクトに見事にこたえて、絶妙のさじ加減で音楽のバランスを保つんよなあ。そして一瞬たりとも音楽が弛緩する(一息つく)ところがない。

 この音源はハイレゾ音源で持っていて、スマホにも入っているので、実際にはNMLやspotifyで聴くことは、ほぼ無い(笑)。寝室のミニコンポにUSBに入れたハイレゾ音源を再生すると、これで充分に高音質で聴ける。CDからの再生だとやや硬い音で音場の広がりも狭く、「まあ、ミニコンポだから仕方がないかな」という妥協が必要。ところがハイレゾ音源を再生した瞬間、文字通り息を飲みます。弦楽器の立ち上がりの空気感や、木管楽器のブレスやタンギングのリアルさ、金管の華々しさ。どれもCDよりも何倍も音がいい。



2022年3月19日土曜日

ブルックナー/交響曲第4番 ティーレマン&ウィーン・フィル

ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調
指揮:クリスティアン・ティーレマン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団



カタログNo:19439914112
録音時期:2020年8月21,22日
録音場所:オーストリア、ザルツブルク祝祭大劇場

https://open.spotify.com/track/0K2UolbDsYKl811euVNJg4?si=rOZnKw9WRaiC0yscNhnxyw&utm_source=copy-link
※Spotify

 ウィーン・フィルが満を持してティーレマンと取り組んでいるブルックナーの交響曲録音。

 これまで8,3,4,2番とリリースされており、どれもティーレマンの確固たる世界観が反映された力作になっているが、今のところ一番気に入っているのがこの4番の録音。
 第1楽章や第4楽章の中間部などでのティーレマンらしいウィーン・フィルのパワーを全開にした重厚で推進力のある部分もあるが、全体としては繊細で美しい。とにかくウィーン・フィルの美しいサウンドが印象に残る。恣意的な部分がほとんどなく、ティーレマンにしては意外なほど「素朴」な世界が広がっていく。朝比奈隆も愛したハース版を使っているのも興味深い。
 ストリーミングで音源を再生しているのに、音楽の美しくも豊かな世界に没入していくと、スマホもパソコンもなく、時間がゆっくり流れていた19世紀の世界に居るような錯覚を覚えてしまう。
 もしかするとモダンオーケストラの性能を駆使した絶後のブルックナー録音になるかも知れない。そんな予感もする。