2022年6月24日金曜日

矢代秋雄/ピアノ協奏曲 (Pf)中村紘子 森正&N響

矢代秋雄/ピアノ協奏曲
ピアノ独奏:中村紘子
指揮:森正
NHK交響楽団

https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/1133552
※ナクソス・ミュージック・ライブラリー(岡山県立図書館利用者IDからログインする場合のリンク)

カタログ番号:NYNG-002
1967年11月 東京文化会館での録音

 日本人作曲家によるピアノ協奏曲の最高傑作。全体を包むモノクロームな雰囲気は日本の曲だなあと共感を持って聴いていると、ピアノのリズムが弾む場面では、メシアンのようなモダンな世界が現出する。こういう素晴らしい曲を作った日本人が居たんだ・・・と。

 この曲は最近のピアニストでの録音もあり、特に第3楽章の絶技技巧の連続する場面では、そちらの方に明らかに分があるのだが、中村の演奏には鬼気迫ると言うか、隅々までこの曲をものにして、自らの血肉にしている迫力がある。
 音楽を深い懐で包んでいて全体としては息の深い流れの中で盛り上がっていく。やはり、凄いピアニストだった。

2022年6月11日土曜日

マーラー/交響曲第1番「巨人」 ルイージ&シュターツカペレ・ドレスデン(動画)

 マーラー/交響曲第1番「巨人」

指揮:ファビオ・ルイージ

シュターツカペレ・ドレスデン


 無料動画の世界はまさに玉石混交だが、たまに玉石を見つけるのが楽しい。この動画は極めつけの名演。「ここでカルロス火を吹いた!」ならぬ、『ここでルイージ火を吹いた』と呼びたくなる怒涛の演奏である。それでいて柔らかい部分は徹底的に柔らかく、繊細な部分もまた然り。このルイージはオーケストラを操り音楽を操る能力は現役指揮者の中でもトップだろうと思う。

 このオーケストラのサウンドは従来『いぶし銀』と呼ばれてきたが、今は「レッド・ゴールド」という明るいサウンドに進化している。このサウンドはシノーポリやチョン・ミュンフンの薫陶を経て、このルイージが進化を決定づけたと思っている。

 ルイージとシュターツカペレ・ドレスデンとは喧嘩別れしてしまったので、恐らくこのコンビの実演を聴く機会(ましてや日本において)は、もうないのが寂しいところ。