2023年11月18日土曜日

フォーレ/ヴァイオリン・ソナタ1,2番 フランク/ヴァイオリン・ソナタ グリュミオー(vn)

フォーレ/ヴァイオリン・ソナタ第1番・第2番
フランク/ヴァイオリン・ソナタ
アルテュール・グリュミオー(vn)
ポール・クロスリー(Pf)
ジェルジ・シェベック(Pf)

※Spotify
https://open.spotify.com/track/4sFZ6P5BlLUovIgXeJNuYW?si=iCbliGp7QcG7KSHIKvbvgg

※NML(岡山県立図書館)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/album/00028942638426

1977、1978年録音

 まず、音が全然違うよねえ。まるで人間の声のようでもあるし、赤ちゃんの寝かしつけをする母親の子守唄のように、聴き手の心が開かれていく。
 冷静に聴いてみると、絶妙に緩急を使って寄せては返す波のよう。
 現代の日本で活躍するヴァイオリニストでこんな音を出す人がいるだろうか?海外だとやはり弟子筋のデュメイ、山田晃子も良かったなあ。岡フィルにいた高畑さんも同じ系統かもしれない。
 生ではなかなか聴けないが、録音でも聴けることに感謝。

2023年11月12日日曜日

シベリウス/交響曲第4番〜第7番 ヴァンスカ&ラハティ交響楽団

 シベリウス/交響曲全集からクレルヴォ交響曲、交響曲第1番〜第3番

指揮:オスモ・ ヴァンスカ
ラハティ交響楽団

※Spotify
第4番

第5番

第6番

第7番

 シベリウスのシンフォニーは4番で全く作風が変わる。ヴァンスカは英雄大河的な壮大な表現から、この4番〜7番の内省的・自然受容的な世界を見事に描き出す。聴く者をマインドフルネスの世界に引き込んでくる。心の琴線に触れるシベリウスの旋律の数々を、変幻自在に楽想を展開していく。5番、6番が特に素晴らしい。

2023年11月4日土曜日

シベリウス/クレルヴォ交響曲、交響曲第1番〜第3番 ヴァンスカ&ラハティ交響楽団

シベリウス/交響曲全集からクレルヴォ交響曲、交響曲第1番〜第3番
指揮:オスモ・ ヴァンスカ
ラハティ交響楽団

※Spotify
クレルヴォ交響曲
https://open.spotify.com/track/6tfkJUJxfCVgISbO5fG07P?si=cXgsVydITH-Y4r154G8IGA

第1番

第2番

第3番

 非常に引き締まった明晰さサウンドで一世を風靡したヴァンスカ&ラハティ響のシベリウス全集。クレルヴォ交響曲も収録されている完全な全集になっているが、このクレルヴォがとりわけ凄くいい。この曲の傑作性を教えてくれた名盤。
 特に第3楽章以降の声楽と合唱を盛り込んだ演奏に心が打ち震えるような感動を覚えた。
 いいシベリウス指揮者かどうかは3番の演奏を聞けばわかる、と思っている私にとっても素晴らしい演奏。

2023年10月28日土曜日

シベリウス/交響曲第6・7番 ベルグルンド&ヨーロッパ室内管

シベリウス/交響曲第7番
指揮:パーヴォ・ベルグルンド
ヨーロッパ室内管弦楽団

第6番

第7番
※Spotify
カタログ番号:825646619429
1997年10月、オランダ ヒルフェスム RFOホールでの録音

 ヘルシンキ・フィルとのコンビもお国モノの強みで味わい深いが、名人集団のヨーロッパ室内管の演奏は、濁りや淀みのないアンサンブルによって、この6番・7番の持つ美しさが一層際立つものになっている。
 7番については正直、このコンビの演奏を聴くまでこの曲の良さを深いところまで理解できていなかった。私にとっては大事な一枚。

2023年10月21日土曜日

シベリウス/交響曲第3・4・5番 ベルグルンド&ヨーロッパ室内管

 シベリウス/交響曲第3・4・5番

指揮:パーヴォ・ベルグルンド
ヨーロッパ室内管弦楽団
第3番

第4番

第5番

※Spotify
カタログ番号:825646619429
1997年、オランダ ヒルフェスム RFOホールでの録音

 このCOEの手にかかれば、陳腐な曲想になりかねない第3番が管楽器・弦楽器の名人芸を堪能する曲になる。シベリウスの作風転換の分岐点となる4番は明晰な解釈でありつつも、シベリウス独特の雰囲気を湛えている。5番も「上手いな〜」と感嘆する。

2023年10月7日土曜日

シベリウス/交響曲第1・2番 ベルグルンド&ヨーロッパ室内管

 シベリウス/交響曲第1・2番

指揮:パーヴォ・ベルグルンド
ヨーロッパ室内管弦楽団

第1番
第2番
※Spotify
カタログ番号:825646619429
1997年10月、オランダ ヒルフェスム RFOホールでの録音

 過去にこのプレイリストに7番のみ収録していたが、これは全曲収録すべきだろうということで、まずは1・2番から。
 このコンビの2番を初めて聴いた時は、名人集団のヨーロッパ室内管をスーパーカーを乗りこなすが如くスピード感と切れ味鋭く切り込む演奏に度肝を抜かれたが、今聴いてみると、現在では主流の演奏。逆に言えば、ロウヴァリやマケラといった現在の気鋭の指揮者たちの解釈の源流は、このベルグルンド&ヨーロッパ室内管にあるのかも知れない。

2023年9月30日土曜日

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第14番〜第16番 ゲヴァントハウスSQ

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲全集から 第14番〜第16番 ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

第14番(1997年1月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300149

第15番(1998年2月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300147

第16番(1998年2月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300148

※ナクソス・ミュージックライブラリ(岡山県立図書館のアカウント)

 この14〜16番は、スズケ四重奏団やアルバン・ベルク四重奏団あたりの方が、第一選択肢になるかも知れないが、こうして1番から聴いてみると、ゲヴァントハウスSQの首尾一貫した聴きやすい響きに身を委ねるのもいい。じっくり聴き込んで行こうと思う。

2023年9月23日土曜日

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第11番〜第13 番、「大フーガ」 ゲヴァントハウスSQ

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲全集から 第11番〜第13番、大フーガ ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

第11番「セリオーソ」(2002年10月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300142

第12番(1996年5月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300143

第13番(1997年11月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300145

「大フーガ」(1997年11月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300146

※ナクソス・ミュージックライブラリ(岡山県立図書館のアカウント)

 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は13番以降はすべて「第九」よりも後の作品。中でも一番好きなのが、13番と大フーガ。ベートーヴェンらしいがっしりした躯体に、付点音符が印象的なモチーフだ自由に飛び回る。第3楽章~第5楽章の穏やかな音楽、とりわけ第5楽章の美しさは筆舌に尽くしがたい。

2023年9月16日土曜日

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第7番〜第9番(ラズモフスキー第1番〜第3番)、第10番「ハープ」 ゲヴァントハウスSQ

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲全集から 第7番〜第9番(ラズモフスキー第1番〜第3番)、第10番「ハープ」 ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

第7番「ラズモフスキー第1番」(2002年6月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300138

第8番「ラズモフスキー第2番」(2002年2月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300139

第9番「ラズモフスキー第3番」(2002年1月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300141

第10番「ハープ」(2002年2月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300140

※ナクソス・ミュージックライブラリ(岡山県立図書館のアカウント)

 この全集録音の収録時のメンバーは
フランク・ミヒャエル・エルベン(第1ヴァイオリン)
コンラート・ズスケ(第2ヴァイオリン)
フォルカー・メッツ(ヴィオラ)
ユルンヤーコプ・ティム(チェロ)

 目の覚めるような切れ味、とか才気あふれる、というものではなく、角が取れた耳に染み込むような音だが、決して丸い演奏ではない。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロそれぞれの音が立っており、その個性が見事に融合する。全てにおいて高次元の演奏。何よりも、ベートーヴェンの音楽が持つ無垢の美しさと、パッションが迸っており、『これぞベートーヴェンの音』という説得職がある。
 録音の音質も素晴らしい。

2023年9月9日土曜日

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第1番〜第6番 ゲヴァントハウスSQ

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲全集から 第1番〜第 番 ゲヴァントハウス弦楽四重奏団

第1番(2003年6月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/349843

第2番(2003年7月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300133

第3番(2003年4月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300134

第4番(2003年5月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300135

第5番(2003年7月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300136

第6番(2003年8月録音)
https://pref-okayama.ml.naxos.jp/work/8300137

※ナクソス・ミュージックライブラリ(岡山県立図書館のアカウント)

 200年以上の歴史を誇る、現存する世界最古級のカルテット。メンルスゾーンは勿論のこと、シューマンやブラームスとの関わりも深く、最新の研究ではベートーヴェンの弦楽四重奏曲の初演も担ったこともあるという生ける文化財。ベートーヴェンの四重奏曲を腰を据えて聴き込むには最適のカルテット。
 まだ充分に聴き込めていないop.18の6曲からプレイリストへ収録しよう。

2023年8月26日土曜日

ベルリオーズ/幻想交響曲 大植&神奈川フィル

ベルリオーズ/幻想交響曲
指揮:大植英次
神奈川フィルハーモニー交響楽団

※YOUTUBE
https://youtu.be/z0-RnW3CJVI


 大植英次、この人の作る音楽は本当に濃密。まるで神奈川フィルに薬物中毒患者(この交響曲の主人公)の亡霊が取り憑いたかのようだ。大阪フィル以外に大植さんの世界をこれほど現出できるオーケストラがついに現れた、という感じ。
 それを可能にしているのが、コンマスの大江馨さんの存在だろう。初めて拝見したのだが、指揮者の示す世界に共感し、全身で統率していく様子は、まるでヨーロッパの一流オケのコンマス像に重なる。

2023年8月19日土曜日

ショスタコーヴィチ/交響曲第11番〜第15番 ハイティンク&RCO or ロンドン・フィル

  ショスタコーヴィチ/交響曲全集から交響曲第11番〜第15番

指揮:ベルナルド・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

※Spotify

第11番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/6iQlrjC4QaLvOovN8X6xPL?si=nTa93Z7NQL2wGXpFtzZrzg

第12番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/1XIQGDzCyyKt21xTwBBO14?si=cgj2mTYxQLCARLZ1uURg8g

第13番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/3ihQEuFNYcyBsgiXnLDQnt?si=KkeEol_HSkGidZR8e61RnA

第14番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/7KHmxcirSyeZhoioPCPKcE?si=AcF6H3_kTMmWJD0GzNM66Q

第15番(ロンドン・フィル)
https://open.spotify.com/track/5qwh3fF6XmDFnYqKXjSp94?si=ccpdJDHsRLudLkeB0LDF0w

DECCA原盤 1980年代の録音

 この後期・晩期の5曲目も、社会主義という特殊な体制や社会情勢などの要素を排し、純音楽的に捉えるハイティンクの解釈は健在。それゆえに第11番や12番は、こういう曲を生み出した当時のソ連の異常性を逆説的に感じてしまう。まともな音楽じゃないですよ、これは。
 第11番から14番がロイヤル・コンセルトヘボウ管で、決してロンドン・フィルが良くないわけではないけれど、やはりRCO 表現の方が限界点が高い。オケの技倆の高さにひれ伏す。第15番もRCOで聴きたかったというのが正直な感想。

2023年8月12日土曜日

ショスタコーヴィチ/交響曲第6番〜第10番 ハイティンク&RCO or ロンドン・フィル

 ショスタコーヴィチ/交響曲全集から交響曲第6番〜第10番

指揮:ベルナルド・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

※Spotify

カタログ番号:425067
1980年代の録音 DECCA原盤


 これでもか!という傑作揃い、ハイティンクはショスタコーヴィチの情念や、当時のソ連の社会情勢を踏まえた解釈はとっていないのでは?見事なオーケストレーションと、その結果の他の作曲家の追随を許さない美しくもモダンな世界を現出している。第9番の良さを知ったのはこの録音。

2023年8月5日土曜日

ショスタコーヴィチ/交響曲第1番〜第5番 ハイティンク&RCO or ロンドン・フィル

ショスタコーヴィチ/交響曲全集から 第1番〜第5番
指揮:ベルナルド・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

※Spotify
第1番(ロンドン・フィル) https://open.spotify.com/track/12asAy7MlrpdteAp7A1eYi?si=Hbi6x8ILR22ebFy0JsEOCw
第2番(ロンドン・フィル)
https://open.spotify.com/track/7zys3HEbk0vlJXHwaA9jlZ?si=gbWr-YttRnKbNeGz2M84hA
第3番(ロンドン・フィル
https://open.spotify.com/track/44BQ8CWSFmk9fWqCzRGbxu?si=wKykD-uLSKyAAJwwsLmaHQ
第4番(ロンドン・フィル) https://open.spotify.com/track/2Pw7RghgalBWv5IlYMAR88?si=RMYRljwtR6ebMDLzgZ_zeg
第5番(ロイヤル・コンセルトヘボウ管)
https://open.spotify.com/track/0TPrBEcQgnTCERq6GzByeZ?si=6KbpwOe4Rxq6Icso1mX5nw

DECCA原盤 1980年代の録音


 録音の音質がまずもって素晴らしい!!ハイティンクの明晰なアプローチが冴えわたり、それに応えるオーケストラの巧さが光る。特に5番のロイヤル・コンセルトヘボウの音は、まさに「ビロードの弦・黄金の管」を堪能させてくれる。Spotifyには全集として収録されているが、まずは1番から5番を。第1番〜第3番の良さを始めて教えてくれたのもこの録音。ショスタコーヴィチのポストモダンな1面を

2023年7月29日土曜日

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番・第15番 ハーゲンQ

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番・第15番

ハーゲン四重奏団
2005年8月録音

https://pref-okayama.ml.naxos.jp/album/00028947757054
※NML岡山県立図書館のID

 ハーゲンQの音色の美しさが素晴らしい。そして表現の多彩さ、緻密さで圧倒する。白眉は15番の第2楽章。病的なまでの陰鬱さから真っ白な世界をみるような無垢な美しさまで、その世界に引きずり込まれてしまう。