2021年3月20日土曜日

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 五嶋みどり&ルツェルン祝祭管

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
指揮:ダニエル・ドッズ
ヴァイオリン:五嶋みどり
ルツェルン祝祭管弦楽団
※Spotify

 このコロナ禍の時代にMIDORIさんのベートーヴェンを聴くと、そのどこまでも深い深い祈りの音楽に魂が揺り動かされる。
 本来であればこのルツェルン祝祭管とともに、日本を含むコンサートツアーが企画されていたが、コロナ禍により中止。このセッション録音のみが収録された(その経緯をYOUTUBEで見ることができる)

 精緻を極めた演奏だけど、隅々まで血の通った人間らしさ温かみを感じさせる。MIDORIのハイトーンは世界一美しい。ここまで純化した音を出せるヴァイオリニストが他にいるだろうか?特に第2楽章での凛とした美しい音に陶然と聴き入ってしまう。
 ルツェルン祝祭管はダニエル・ドッズがコンサートマスター兼指揮でソリストに共感しながら絶妙に付けていく。第1〜2楽章ではいい意味で、スター軍団のオーケストラの存在感を押し出さない伴奏だが、第3楽章でのソリストとの音楽の対話は饒舌。やっぱりこのオーケストラはうまい。

2021年3月13日土曜日

ドヴォルザーク/交響曲第8番 ヤンソンス&RCO


ドヴォルザーク/交響曲第8番
マリス・ヤンソンス指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

https://open.spotify.com/album/6Kn1voZlAzOkuq32uwJXa2?si=D6kQYHvlS7mepYoJ4Gg4qg
※Spotify
 このプレイリスト・ログをはじめてから7ヶ月が経った。当初は週に2つほどのエントリーができるかなと思っていたが、音源を聴くペースは確かに週に2〜3枚ぐらいなのだが、やはり記事化する時間がなく、現在は週に1回のペースになっている。ジャケットを取り込んでリンクを貼ったりするのが結構手間なんだよな。。。

 さて、ヤンソンスらしいポジティブなオーラにあふれ、きびきびと指先まで血の通った演奏。強烈なクレッシェンドで音楽を頂点に持っていくヤンソンス節がたまらない。この曲はオスロフィルとの演奏も素晴らしかったので、隠れた十八番だったのかも。
 SACD版では2枚組でレクイエムとのカップリングだったので、こちらの8番の演奏はあまり注目されなかったが、かなりの名演だと思う。

2021年3月6日土曜日

ラフマニノフ/チェロ・ソナタ ハレル&アシュケナージ

ラフマニノフ/チェロ・ソナタト短調

Vc:リン・ハレル

Pf:ウラディーミル・アシュケナージ

https://open.spotify.com/track/1yLIYohi1cf02a8hUppMiO?si=Z9VRw4AAS4auISfOmavAGw

※spotify

 少し前のことになるが、去年(2020年)の4月にリン・ハレルの訃報に接した。その際、彼の音源を聴いていて改めて「いいなあ」と思った演奏。奇しくもアシュケナージも去年に引退を表明し、彼の演奏も生で聴ける機会はもうない。

 1901に作曲されたこの曲は、いかにもラフマニノフらしいメランコリックな旋律が次から次へと押し寄せてくる。ロマン派音楽の黄昏を感じさせる曲で、チェロも心を揺さぶる旋律とテクニックで畳み掛けてくるのだが、ピアノがまた「伴奏」の域にとどまらない。転調に次ぐ転調で切ないメロディーをたたみかけてくるようなところは、ピアノ協奏曲第2番を思わせる。

 ハレルとアシュケナージ、20世紀末を代表する名手の二人のテクニックと類まれなる音楽性がぶつかり合う。「ほえ〜」「はああー」とため息しか出ない演奏。