2022年4月23日土曜日

シューマン/ピアノ五重奏曲 プレスラー&エマーソン四重奏団

シューマン/ピアノ五重奏曲
ピアノ:メナネム・プレスラー
エマーソン四重奏団



カタログ番号:UCCS50069
1993年 ミュンヘンでの録音

https://open.spotify.com/album/09ONZKq7icq9dbCJcctxu3?si=GBuLaXHAROaR_YSXkvA3qg&utm_source=copy-link&dl_branch=1
※Spotify

 現代最高のカルテットの筆頭:エマーソン弦楽四重奏団が2023年に解散するというニュースに接し、手にとった一枚。
 シューマンの魅力は交響曲で言えば第1番、3番のような明るくて力強いものと、第2番・第4番のように鬱蒼とした病的な美しさ、という「躁」と「鬱」の2通りの特徴があるが、この曲は前者の明るくて力強いシューマンが楽しめる。
 最高の室内楽ピアニストに、最高の弦楽四重奏団の組み合わせ。キレキレの演奏なのに、弦の芳醇で華やかな音がシューマンの「躁」状態の表現に絶妙なマッチングを見せる。その弦4丁の音と一体化していくピアノの音。この曲は結構チェロの見せ場が多いが、そのチェロの音も見事。

 ピアノと弦のバランスが絶妙で、内容も非常にわかりやすく、冒頭の第1主題のメロディーさえ頭に入れば、最後までその主題の変化を追っていくだけで楽しめてしまう。

 この録音のような超ハイレベルな室内楽の録音を聴きたあとに、オーケストラの音源を聴くと、まどろっこしい(笑)それぐらい、この演奏の切れ味は爽快。

2022年4月16日土曜日

シンプリー・レッド/Stars

シンプリー・レッド/Stars


ワーナー・ミュージック
カタログ番号:WPCR75149

https://open.spotify.com/track/0DJnqFhVWoTDs58JPem5Zh?si=xxFyyoc-QCK0rLlRJF6myQ&utm_source=copy-link
※Spotify 

 1日のユニークアクセス数が十数件、開設以来1年半たった今でもいまだにコメントは0件という泡沫ブログではあるが、ペット・ショップ・ボーイズの記事依頼一日100件を超える日が出るようになった。クラシックと洋楽の市場の違いを思い知る結果に(笑)

 気を良くして今回も洋楽を。
 1991年リリースのアルバム。通学時間・勉強時間に何度繰り返しきいいたことか。ちょうどカセットテープのウォークマンからCDウォークマンに乗り換えた直後だったので、何度聴いても「擦り切れる」ことのないメディアの恩恵に預かっていた。

 タイトルにもなったStarsはリリースから15年ぐらい経った日本で、車のcmに使われるなど、まさにエバーグリーン(色褪せない名曲)だ。当時としては(というか今も)珍しく、海外のメジャー・ユニットに日本人(ドラムの屋敷豪太さん)が参加していることでも有名になった。
 Something Got Me Startedや、For Your Babiesなど名曲揃いで、本国のUKではアルバム売上が2年連続でトップのなるなど空前の大ヒットだったが、北米チャートではトップ10に入るにとどまった。このあたり、UKとUSAで市場の嗜好が異なるのが面白い。

 Spotifyにはボーナス・トラックが付いた2008年エディションが収録されているが、オリジナルは1〜10トラック。やはりオリジナルのほうが作品としてのまとまりが良い。

2022年4月9日土曜日

サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」 P.ヤルヴィ&パリ管(動画) 

 サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

パリ管弦楽団 

プロムス2013 ライヴ録画(youtube)

 パリ管がもともと持っている豊かな響き、そして聴き手を陶酔させる音のボリューム感の劇的な変化を活かしつつ、パーヴォの手腕によって極めて精緻なアンサンブルを聴かせる。

 機動力を最大限に活かし、フレキシブルに強弱のメリハリを大きくつけ表情を豊かにするものの、メロディーはあくまで自然な運びの中で歌わせるといった感じで、やりすぎて野暮ったくなることがない。
 このコンビで実演が聴けたことに、いまだに感謝(くらしきコンサートよ、永遠に)。

2022年4月2日土曜日

ブラームス/交響曲第1番 ハイティンク&RCO

ブラームス/交響曲第1番 ハイティンク&RCO


https://open.spotify.com/album/5BlDbFeQppfg4pgMXIEYEw?si=XXouDWDfThaRJ6Wld7nRIg&utm_source=copy-link&dl_branch=1
※Spotify

カタログ番号:4808286(ハイティンク・コレクターズBOXの番号)
1972年12月 アムステルダム・コンセルトヘボウでの録音

 まずもって、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の音が美しい。まさに『ビロードの弦・黄金の管』。この音を聴くだけでも幸せになれる。
 ハイティンクのタクトは、(心から尊崇の念を込めて)『中庸の王道』を行く演奏だ。第2楽章〜第3楽章にかけての美しさはもちろんのこと、肩を怒らせるかのような演奏が多いこの曲を、第1楽章や第4楽章をこれほどまで細部まで丁寧に、そして溜めやじらしを使わず、端正なフォルムにまとめ上げた演奏は比類がない。
 やれ、書き上げるまでに20年を要した、はたまた、この曲は第九に続く、第10番の交響曲だ、などという鼻息荒いエピソードや、それにまとわりつく先入観はすべて削ぎ落として、ブラームスの音楽の美しさ・本質を描いているのではないか?それゆえに、この曲のオーケストレーションの見事さを、克明に、時にはグロテスクなまでに描き出している。だからこそ王道と思う。
 
 録音も言うことなし。